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 ある夏の日の午後(平日)、仕事もせずに惰眠をむさぼっていた私の携帯電話がプルルッと鳴りました。それは、かつて『アクアノートの休日』や『太陽のしっぽ』などのゲームソフトを発表し、その珍奇なゲーム性でちょっと話題になったものの今は何をしているのかよくわからなく、さらにゲーム作家と自称しているものの僕から見たら僕と同じく凡庸で自堕落で発狂した人間、飯田和敏からの電話でした。

「もしもしサガラッチ? あのサー、今サー、N64DD用のゲーム作ってるんだけどサー。知ってる?」「ええ、まあ、なんとなく」「それでサー、そのゲームって、巨人が出てくるんじゃ。タイトルは『巨人のドシン』ってゆーんだけどサー、これ、すごくイイでしょ、でしょ、でしょ?」「そうですね」「それでね、今インターネットを通じて世界にね、この企画をね、アッピールしていこうと思ってるんだけどサー。おい、こら、聞いてんノカ!!」「はい、聞いてますよ」「そこでだね、ぜひともサガラッチに依頼したいことがあるんだよ。じゃ、打ち合わせしようか、ちょっと来てくれるカナ?」「はあ……」。飯田氏が指定したのは、東京・青山にある、とあるお洒落なカフェーでした。

「その『巨人のドシン』ホームページkyojin.comの中にね、巨人に興味を持った人みんなに巨人のコトが何でもわかっちゃうコーナーを作りたいと思っているわけ。名付けて『巨人大全』。これでどう?」「はあ……」「じゃ、頼んだヨ!」 さあ、久しぶりの仕事の依頼です! まるで人気のない探偵事務所みたいですね! ヨシ! それじゃ早速巨人の調査を開始〜! と行きたいところですが、巨人といっても私には、背番号33番、ミスタージャイアンツであるところの長嶋茂男監督率いるプロ野球球団、読売巨人軍くらいしか思い浮かびません。あとは、ガリバーとか、『もののけ姫』の最後にでっかい変なのが出てきたよね〜とか、それぐらい。まあ、普通の人の巨人に対する知識といったら、そんなものでしょう。

 そこで私は、近所の図書館へと赴くことにしました。巨人が出てきそうな本といったら、まず童話や絵本でしょう。でも数ある童話の中から巨人が登場する童話をピックアップするのは、なかなか大変です。というわけなので、細かくジャンルが分類されている一般書架から、民俗学の書棚へ向かいます。そこで、いくつかの民話集を覗いてみると意外にも、数多くの巨人が登場する民話を発見することができました。中でも日本、関東地方を中心にダイダラボッチという巨人が登場する民話が沢山残されていることがわかりました。次は郷土資料の書棚で千葉県の民話集を探しました。すると、出てくる出てくる、すごい数です。千葉県内だけでも30カ所近くに巨人が出没したという言い伝えが残っているのです! この調子で関東、日本全体、そして世界全体の巨人に関して調べていくとしたら、まったく気の遠くなるような作業です。

 それでも、ともかく依頼に応じて、これら巨人にまつわるあれやこれやを体系化して『巨人大全』として編纂し、『巨人のドシン』の発売を待ち焦がれている方々に少しでも楽しんでいただくのが私の使命なのです。きっと。

 このようにして調査をはじめた私ですが、この原稿を書き始めた現在でも巨人に関する調査は続行中なのです。ですから『巨人大全』は発表された部分においても、まだ未完全であることは、いたしかたないことなのです。というわけで、いよいよ『巨人大全』が始まりますが、これは、まだ未完成であるものと思ってください。一度発表された章でもその後の調査・加筆により内容は補われていきます。加筆された分については、その度、告知していきますから、マメにチェックしてくださいネ!

 さて、このように『巨人大全』の完成を目指すかたわら、私は、日本各地に残る巨人の足跡などの巨人出現ポイントを訪れることにしました。巨人の度を越した大きさ、そのパワーを実感するためです。この巨人スポット探訪の様子は『巨人大全』と並行して『キョジンツアーズ』として発表していきますから、こちらも楽しみにしていてください。それでは、前置きはこの辺りまでにしておきましょう。さっさと始めましょうね。

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