・どうするか

ils05.gif (17055 バイト)(飯田和敏)

この間、ガボンと2人でプリクラを撮りまくった。で、撮ったプリクラは、以前このコーナーあてにプリクラを送ってきてくれた人全員にもれなく郵送しました。この号が出ている頃にはもう届いているんじゃないかな。プリクラだけじゃなくて、Param特製ポストカードも入ってるよ。ポストカードも封筒も全部手作りです。切手も一枚一枚舐めて貼りました。あんまり舐め過ぎたので気持ち悪くなっちゃった。作業にまる一日かかってしまったけれど、楽しかったです。そういえば昔々、ファミコン以前のゲーム作りもこんな感じの手作業でした。今でこそゲームクリエイターといえばサッカー選手に並ぶ花形職業のひとつらしいので、みなさんは華麗なクリエイターライフを想像しているかもしれないけれど、かつては社会に背を向けた人達が人様に後ろ指を指されながらジメジメシコシコと作っていたものです。ゲームが完成すると、複製、箱詰め、商品の発送など全ての作業はゲームを作った本人達がやっていました。ゲーム作りは「DO IT YOURSELF」精神によって成り立っていたのです。僕がこの世界に入った頃はスーファミ時代だったので、そういう雰囲気は殆ど無くなっていたけれど、働いている人々の姿形や行動にそんな時代の名残りはありました。馬のしっぽよりも毛が伸びちゃって生野菜しか食べないプログラマーさん。ストリップに行って初めて本物の女性の裸を見て精神崩壊をきたしてしまったラムちゃん好きのお兄さん。この世界はそういうストレンジな人々がひっそりと暮すことが出来る数少ない場所のひとつだったんですね。僕自信はそういう人達に対して抵抗感もあったけど、愛着も感じていました。己の価値観以外の全てを無視出来るという強靭な精神に惹かれていたのでしょう。

(柴田賀盆)

うんうんワビちゃんの言う通りだ。でも、途方もなく高慢ちき。唯我独尊、誰のお願いにもマユ一つ動かさない氷の美女のようにクール、だけどいつもボクらのまん中でニラミをきかせる、カゲの女番長のような存在があるよ。ゲームマシンちゃんそのものなのだ。女番長は絶対的な権力者。ノーといえば、断じてノー。お願い、画面をカラーでいっぱいにして…とあたまをすりつけてお願いしても、ヒールのかかとで、「できないからダメな・の・ヨ・ン」とグリグリされれば、ハイそうでございます、とどんなに絵心のある今井クン(元気?)でも引き下がるしかない番長なのだ。そんな黒くひきしまったボディに大きな口をもったにくいやつ(64のこと)、にオイラ達は日々かしずき、お許しになられる範囲でのみ、ゲームを作ることができるのです。

時をさかのぼること10年前、ファミコンの頃はそのキョーフといったらすごかったです。例えば、画面をつくるなら、5本の指でラクに足りるような色の組み合わせをチマチマと選びだし、ごく少ない種類の模様を作って、画面に一生懸命ならべてたものでした。画面全体をぜーんぶ別々の模様でならべられるようなゼイタクは、許していただけませんでした。気をつけて画面をみれば、すぐにわかっちゃうと思うよ。

あれは模様を作る手間をはぶいているのではなくて、女番長が許してくれなかったのです。でも、わびちゃんが言った「DO IT YOURSELF」のような良さはあったよ。簡単なはなし、ノートと方眼紙で作れちゃうようなパラパラマンガのような感じだったな。クラスの陽気なマンガにーちゃんが、知恵とコンキで作っちゃえるようなことも十分できました。はぁ…日だまりのような懐かしい日々、どこにいっちゃったのでしょうか?

そして、10年後、1997年。女番長も寛大になりました。ノートと方眼紙のような世界は、立体空間のセットをカメラで撮影するような世界にかわり、一日一色数えるとしても一生かかっても数えきれないくらいの色の数、まさに理想郷はいまここにといった感じです。だがしかし、立体空間をつくる手間ひまといったら、画面をテケテケとタイルでうめる苦労となんら変わるものではありませんでした。むしろ、画面を表示するまで、ずっとずっと、番長の前の四天王のように、回りくどくなったように思えます。

でも、回りくどくはなったけど、64の世界にはまだまだ手作りのよさが残ってると思います。というかプリクラ交換みたいに、大事な宝物になっちちゃうみたいな感じは、やってける限りはやってけたらなぁと思ってます。

(飯田和敏)

「最近のゲームのCGムービーってどんどんゴージャスになってるけど、別にどうでもいいや。どんなスゴイ映像を見たってもう何も感じない。ドカーン!バコーン!ズガーン!そんなのばっかだもん。どうせ、内容はなんかの映画のパクリだし金と時間をかければ誰だって作れるじゃん。そんなのを垂れ流しで見せられる俺らはいい面の皮だぜ、やってらんねーよな、オイ。」偶然、ゲームショップで聞こえてきたホントの会話です。耳が痛いぜ。

手作りのよさってのは、それとは反対の態度の事なんだな。すなわち、パクらず、金と時間を無駄にかけず、お客さまへの礼儀を忘れない。今度は何としてもこの3つの原則だけは死守しよう、な、ガボちん!

電撃NINTENDO64 1998年2月号

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